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映画や本の覚書き

ジャコメッティ 最後の肖像

eiga.com

何も起こらない作品。

ただ、一人のアーティストが、一枚の絵を描き始めて描き終わるだけの。

 

言ってしまえばそれだけだし、ジェフリー・ラッシュ演じるジャコメッティはちょっと描いたと思えばFワード満載で罵ってすぐ描くの止めて女と遊んじゃうし、ほんとアーミー・ハマー演じるジェームズと同じように見てる側もイライラしちゃうんだけど、そこはさすがジェフリー・ラッシュ、なぜか憎めない。

いちいちセリフも含蓄に富んでるっていうか深読みして、「おお、さすが芸術家」って思わされちゃうような。

あとアーミー・ハマーの美しい顔面を本当にじっくり何度も何度も見せてくれるんだけど、美しく、どこか冷ややかな彼の美貌を見ていると、芸術の心得なんてなにひとつもない私でさえなにか胸の奥をかきたてられるような、焦燥のような感覚があって、ジャコメッティがあんなに苦しみながらもそれでも描くのをやめられない気持ちがわかる気がした。

芸術家っていうのはそういう胸のざわめきを何かで表現しないではいられない人たちだと思っているので、劇中のジャコメッティの言葉を聞いていろいろ思いに耽ってしまう。

 

映像も美しいし、良作だとおもう。